”あい” を知る
2017/06/21
今、私の中で最もホットなキーワードは、”あい” です。
”あい” と言っても、恋愛の「あい」ではなく、
人工知能の「AI」です。
ボードゲームで比較すると、終局までの手順は、チェスが10の120乗通り、将棋が10の220乗通りもあるそうです。
数学的にはチェスよりも将棋の方が複雑なようです。 しかも、100乗もの差があるので、その差は天文学的です。
そのチェスで、コンピュータが世界チャンピオンに1勝したのが、1996年。翌1997年には互角に渡り合っています。
一方、将棋では2009年頃にはプロ棋士から勝利を得て、2012年頃には将棋のプロ棋士と互角に渡り合うようになりました。
その間、15年です。
極論すれば、15年で100乗の差を追いついた事になります。
そして、将棋よりもさらに複雑とされる囲碁は、終局までの手順が、10の360乗通りもあるとされています。 その差は140乗もあり、しかも囲碁の自由度は非常に高く、素人目では形勢を判断する事さえままなりません。
将棋やチェスのプログラムは、ある程度解法を人間が考えてアルゴリズムを組んでいたのですが、囲碁の場合、そのような方法で人間を打ち負かすには、少なくともあと10年はかかるだろうと思われていました。 まずは勝つための定石を、人間が導き出して、それをアルゴリズムに落とし込まなければならなかったからです。
ところが、2016年、Googleの「Alpha碁」が韓国人のプロに勝利してしまいました。
このニュースには世界中がどよめきました。
将棋でプロ棋士に追いついてから、わずか4年です!
将棋との差は140乗もあったのに、本当に驚異的です!!
しかも、絶対に勝てる定石はいまだ完成していません!!!
Alpha碁は、これまでの、過去の棋譜を徹底的に記憶したプログラムとは異なり、自ら考えるAIだったのです。
”自分で形勢を判断して、直感で考え、直感で判断する。”
とうとうこの日がやってきたか、と世界中で大騒ぎになりましたので、ご存知の方も多かったと思います。
コンピュータが自ら学習して、自ら判断して、自ら考え、自ら結論を出す。 入口から出口まで自ら行い、フィードバックも反映させる事ができる、自立したコンピュータシステムが囲碁の世界ではプロを超えるレベルまで達したのです。
ついに、鉄腕アトムやドラえもんの世界がついに足音を立てながら近づいてきたのです。
ちなみに、そのAlpha碁と同じような仕組みのプログラムにゲームをさせてみました。
人は、ゲームのコツなどは教えません。
ただ、得点が上がればGood。と最低限のルールを教えただけだそうです。
すると、ブロック崩しのような単純なゲームは一般的な人よりも好成績をとるようになったそうです。
苦手だったのは、パックマン。
大きな丸を食べると、追う立場と逃げる立場が逆転する、ルールが変わるゲームが苦手だったそうです。
「苦手」を聞くと、少し安心します。
瞬間的にルールが逆転するようなゲームは苦手なんだ、と。 まだまだ人には追い付けないな、と。
ところが、最近驚くニュースを見てしまいました。
マイクロソフト社のAIが「ミズ・パックマン」という、パックマンより難しく・複雑なゲームで、これ以上はだせないという最高得点にまで到達してしまったそうです。
開発元はGoogleとマイクロソフトと異なる企業ですが、AIの進化の速さが強烈なインパクトを与えました。
人工知能が人の知能を超えるのを、シンギュラリティ(技術的特異点) と言うそうですが、
そこまで達すると、AIがまた次のレベルのAIを開発して、そのAIがさらに進化した次のレベルのAIを開発する。という超進化につながるそうです。
先のAlpha碁も、過去の棋譜を学習しただけでは物足りず、Alpha碁同士で対戦してさらに強くなっていったそうです。その対戦の棋譜は、これまでの常識ではありえないような差し手だったそうで、プロ棋士たちを驚かせたそうです。
恐ろしい時代に突入してしまったな....。と改めて感じています。
私たちの未来は、『鉄腕アトム』なのか、『ターミネーター』なのか。
知りたいような知りたくないような、複雑な気持ちです。
『”あい” は支配しない、”あい” は育てる。(Love does not dominate; it cultivates.)』 ゲーテより